海洋深層水って何? 海洋深層水とは、水深200m以深の太陽光が届かない深海をゆっくりと流れている海水のことです。地球上の海水は水深200m付近を境として、表層水と深層水に分かれています。このあたりから水温が急に冷たくなっていきます。低水温の理由は、北大西洋のグリーンランド沖や南極海などで冷やされた海水が底に沈み、およそ2000年の年月をかけてゆっくりと大洋全体に広がっているためと考えられています。 世界で初めて海洋深層水の研究を始めたのは、フランスの研究者です。1930年ごろ、海洋深層水の低温性について研究するために汲みあげたのが始まりとされており、その後、低温安定性を利用した温度による発電や、冷房への利用研究など、さまざまな研究が行われています。 日本では、高知県が最初に海洋深層水を活用し、東北より北でしか育てられないため、南方ではあきらめられていたマコンブの栽培や、夏場に生育の悪かったワカメの栽培の二期作に成功しました。また、ウニや貝類の種苗の生存率を高めることにも成功しました。これらはすべて水深320mから汲みあげた海洋深層水を利用して実現したものです。 海洋深層水には、有機物がほとんど含まれず、有害な細菌が少ないといわれています。また窒素やリンなどの栄養分は、表層を流れている海水の数十倍から数千倍含まれていることから、飲料水をはじめ、食品、化粧品、タラソテラピーや足湯などの温浴施設など、さまざまな分野で利用されています。